珍しいことが起きたので、どのくらい珍しいことだったのか計算してみました。
節分の豆まきにて
昨晩、日本にいる妻から興奮気味に電話があり、なんでもすごいことが起きたのだとか。
昨日(2021年2月2日)は節分ということで、妻と娘はうちの実家に行って豆まきをしてきたとのこと。私の家族は賃貸アパート暮らしのため、やはり豆まきは実家(一軒家)で行う方がいいだろうということで、娘が生まれて以降毎年の行事になっています。
うちの実家の豆まきのスタイルは私が子供の頃から変わっておらず、最初にオーソドックスな豆まきをした上で、母がお菓子とおひねりを家の中にまき、子供はそれを拾うという流れになっています。今回は親戚の子供も参加したため過去のスタイルが踏襲されたとのこと。
子供達は二人とも未就学児であり、お金になど全く興味はないわけですが、なぜか今年も母はいつものようにおひねりをまいたのだとか。
全てまき終わり、二人ともお菓子とおひねりを獲得したものの、やはり若干年上のうちの娘の方が親戚の子よりもたくさん拾ったため、娘はお菓子とおひねりを少し分けてあげたのだとか。
そして次に妻が娘のおひねりの中身を確認し集計したところ、100円硬貨4枚と50円硬貨2枚で「ちょうど500円だね!」となったらしい。それを耳にした母が驚き飛んできたのだとか。「そんなことあるんだね、、、全部でちょうど1,000円まいたのよ!」
最初にこの話を聞いた際には「そりゃ100円と50円の硬貨だけならそういうことも起こるでしょ」くらいにしか思わなかったのですが、どうやら5円硬貨や10円硬貨のおひねりもあり、全部で結構数が多かったそうで、となると話は変わってきます。どうやらかなり珍しいことが起きたようだなと。
詳しい状況
詳しく話を聞いてみたところ、どうやらうちの母は以下の硬貨でちょうど1,000円分まいたとのことでした。
- 5円硬貨2枚(計10円)
- 10円硬貨9枚(計90円)
- 50円硬貨2枚(計100円)
- 100円硬貨8枚(計800円)
つまり実際にまかれたおひねりは21個であり、最終的にうちの娘が6個、親戚の子が15個獲得したことになります。あまりたくさん拾えなかった親戚の子がなぜ最終的にそんなに多く獲得できたのかは容易に想像がつきます。甘いお菓子に目がないうちの娘は、自身にとってはどうでもいいおひねりを親戚の子に多めにあげることで「あげてる感」を演出したのでしょう。
結果的に5円硬貨と10円硬貨は全て親戚の子に渡ったわけですが、おひねりはしっかり包まれていて中は見えず、娘が触って判断して、、、というのも現実的ではありません。となると、これはかなりすごい(珍しい)ことなのでは?となるわけです。
ということで今回、これはどのくらい珍しいことだったのか、すなわちどのくらい低い確率で起こる事象だったのかを確認してみようと思い立ったわけです。
確率計算
そんなわけで、上述のように「21枚の硬貨(計1,000円)を二分した際にちょうど500円ずつになる確率」を計算してみたいと思います。
21枚の硬貨を二人に分ける時のいわゆる「場合の数」は「221」ですから、確率を計算する際の分母はこれになります。なので以下では分子に着目して考えてみることにします。
まず、どうしたら「500円」ちょうどになるのか考えてみると、以下の6つのケースが存在することがわかります。
- 100円硬貨5枚
- 100円硬貨4枚+50円硬貨2枚
- 100円硬貨4枚+50円硬貨1枚+10円硬貨5枚
- 100円硬貨4枚+50円硬貨1枚+10円硬貨4枚+5円硬貨2枚
- 100円硬貨4枚+10円硬貨9枚+5円硬貨2枚
- 100円硬貨3枚+50円硬貨2枚+10円硬貨9枚+5円硬貨2枚
それぞれのケースに関して「場合の数」を計算し、最後に足しあわせて「221」で割れば確率が求まるということになります。
<ケース1>
8枚ある100円硬貨から5枚を選ぶ時の場合の数なので、
8C5 = 56
<ケース2>
8枚ある100円硬貨から4枚選び、2枚ある50円硬貨を2枚とも獲得する時の場合の数なので、
8C4 * 2C2 = 70 * 1 = 70
<ケース3>
8枚ある100円硬貨から4枚選び、2枚ある50円硬貨から1枚選び、9枚ある10円硬貨から5枚選ぶ時の場合の数なので、
8C4 * 2C1 * 9C5 = 70 * 2 * 126 = 8820
<ケース4>
8枚ある100円硬貨から4枚選び、2枚ある50円硬貨から1枚選び、9枚ある10円硬貨から4枚選び、2枚ある5円硬貨を2枚とも獲得する時の場合の数なので、
8C4 * 2C1 * 9C4 * 2C2 = 70 * 2 * 126 * 1 = 8820
<ケース5>
8枚ある100円硬貨から4枚選び、9枚ある10円硬貨を9枚とも獲得し、2枚ある5円硬貨を2枚とも獲得する時の場合の数なので、
8C4 * 9C9 * 2C2 = 70 * 1 * 1 = 70
<ケース6>
8枚ある100円硬貨から3枚選び、2枚ある50円硬貨を2枚とも獲得し、9枚ある10円硬貨を9枚とも獲得し、2枚ある5円硬貨を2枚とも獲得する時の場合の数なので、
8C3 * 2C2 * 9C9 * 2C2 = 56 * 1 * 1 * 1 = 56
以上の6つのケースに関して、場合の数を全て足し合わせると、
56 + 70 + 8820 + 8820 + 70 + 56 = 17892
これを「221」で割れば良いので、求める確率は、
17892/2^21 = 17892/2097152 = 0.00853
となります。
これの逆数は、「117.2」なので、「118回」このおひねりまきを繰り返せば1回くらいは500円ずつに分かれるということになります。低い確率ではあるものの、「奇跡」と言えるような低さではありませんね。
日本人女性の平均寿命は2019年の統計によると「87.45」歳ですから、毎年拾い続ければ一生涯で1度くらいはちょうど500円になることもあるのかもしれません。
ただ、子供たちが拾う側でいるのなんて10数年間だけでしょうし、物心がつけばうちの娘はきっとお菓子には目もくれずおひねりを集中的に狙うようになるでしょう。そう考えると、幼い子供たちが純粋な心で今回のような「試行」に挑めるのは10回もないわけで、それなりに珍しいことが起きたのかなという気はします。
終わりに
最後に念のため、あらかじめ言い訳をしておきますが、この手の計算をしたのは高校の数学の授業で習って以来なので、もしかしたら間違っているかもしれません、、、その際には是非ご指摘をお願いします。
今ふと、オフィスから窓の外を見ていて思いましたが、そもそも今私がここにいる確率なんていうのは多分ものすごく低いわけですよねきっと。異国の地で単身赴任、疫病の世界的蔓延により一時帰国ができず家族にすら会えない状況とか、、、
そう考えると、案外起こりそうもないことというのは起こるものなのかもしれません。
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