あの日から1年が経ちました。
武漢封鎖から1年
2020年1月23日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策として、中国の湖北省の省都である「武漢(Wuhan)」は封鎖されました。いわゆる「ロックダウン」ですが、今日まで欧米の様々な地域で実施されてきたロックダウンとは比べ物にならないレベルの極めて厳格なものでした。
この封鎖は4月8日に解除されるまで76日間にも渡って続きました。
私はその頃、武漢にいたわけではないのでこの封鎖を経験することはありませんでしたが、武漢出身の学生たちに話を聞いたところ、皆色々と大変だったようです。ごく一部、「自分オタクなんで余裕でした」などと言ってのけた猛者もいたものの、やはり多くは外出ができないストレス、そしてその状態がいつ終わるかわからない不安に苦しんだようです。
あの日から気付けば1年。最近また中国国内でも新型コロナに対する警戒感が高まってきたものの、少し前までは完全に以前の日常が戻っていました。私も昨年は2週間の隔離を経験したり、何度もPCR検査を受けたりと色々と大変でしたが、そういった記憶も随分と前のことのように思われます。なので中国にいると、一向に収束に向かう気配のない日本や欧米諸国におけるコロナ禍の現状が不思議に思えてなりません。
現在の中国における感染状況
特に昨年(2020年)の夏から秋にかけては、中国では市中感染者ゼロの日が非常に多く、新型コロナはほぼ完璧な形で封じ込められていました。
しかしながら、季節性である新型コロナが猛威を振るうのは冬であり、今冬は中国でも市中感染者が連日見つかっています。まあそうは言っても、空港検疫等で見つかる感染者も含めて新規感染者数は連日100人前後で推移していますから、相変わらず上手いこと感染状況のコントロールができているのだとは思います。人口の違いを考慮すれば、中国における「100人」というは日本で言うところの「8~9人」ということになりますから、ほぼ感染者はいない状態であると言っても過言ではないでしょう。
ただ、中国の人たちは全くもって安心はしていないようで、来月の春節を控え人々の移動も活発になることから、現在は厳戒態勢が敷かれています。帰省の際には7日間以内に取得したPCR検査の陰性証明が必要となっていて、春節後に帰省先から学校や職場に戻る場合も同様の措置が取られることになっています。
私個人に関して言えば、中国国内に帰る場所などないわけで、今いる街から出る予定はありませんが、大学からは「不要不急の移動を控えるように」と繰り返し言われています。あとは、日常生活における変化としては、その辺のスーパーの入り口等での体温測定が少し前から再開しています。
もちろん学生に対しても大学側は色々と通知を出していて、やはり軸になるのは「不要不急の移動自粛」ですが、会食なんかに関してもあまり大人数にならないようにと注意を促しています。例年なら旧正月休みを利用して旅行をする人も中国には多いのですが、今年は旅行なんて「論外」ということで、皆静かに過ごすことになりそうです。SNS上には「春節でまた中国人観光客が日本に押し寄せて大変なことになる」などといったデマを投稿している日本人が散見されますが、海外旅行どころか国内旅行すら不可能なのが現状です。
中国入国者に対する措置
現在外国人に対する中国ビザの新規発給は実質的にほぼ停止中であり、中国に学籍や職のある外国人は本国でビザの発給再開を待っている状態です。
最近、本国で待機していた外国人の同僚が中国に戻ってきたと間接的に耳にし、一体どうやって入国したのか気になり色々と聞いてみたのですが、パンデミックの前に取得した居留許可で入国したとのことでした。中国政府は2020年3月に全てのビザと居留許可の効力を一時停止したのですが、その後、それらを再び有効にする旨発表しています。ですから、まだ期限が切れていなければそれで入国が可能なのです。
ただ、中国では雇用形態等に依るものの、毎年居留許可の更新が必要が外国人が非常に多く、複数年有効なものを持っている人はかなり少ないです。なので、今後中国に入国するためには新規にビザを取得する必要がある外国人が大半かと思われます。
彼曰く、入国自体はスムーズだったものの、やはり隔離が少々しんどかったようです。彼は先月(2020年12月)に国際線で広州に到着し、そこで2週間、空港近くのホテルでの隔離となったそうです。ホテルは自分では選べず、ホテルに到着後、1泊120元(約1,920円)の部屋にするか245元(約3,920円)の部屋にするか選ぶよう言われたのだとか。食事代は含まれておらず、ホテルにお願いした場合は1日あたり80元(約1,280円)が追加で必要だったとのこと。彼はホテル側に食事は頼まず、毎食「美団」(デリバリーサービス)を利用して適宜食べたいものを自分で選ん注文したとのことでした。
2週間の強制隔離終了後、彼は大学に戻り、そこで更に2週間強制隔離されることになったのだとか。隔離場所は大学所有の宿泊施設で、食事に関しては毎食キャンパス内にある大学所有のホテルのレストランから運ばれてきたとのこと。宿代は大学負担で、食事代のみ支払ったと言っていました。
4週間に及ぶ強制隔離を経て彼はようやく自由になったわけですが、現在、外国人が中国に入国するということはこういうことなのです。ビジネストラックがどうとか、制度自体は存在しますが、出張等の短期滞在での訪中は不可能です。中期滞在も現実的ではないでしょう。
このあまりにも長い隔離期間のせいで、有効な居留許可を持っている外国人でも現在は中国から出るに出られません。私はさすがに今冬の一時帰国は諦めましたが、夏には絶対に一時帰国したいと考えているので、少しでも早くこのルールが緩和されることを切望しています。
日本は連日新規感染者数が多くて大変そうですが、新型コロナ封じ込めに成功したが故に鎖国を解除するのが過度に難しくなってしまった中国もこの点に関しては大変です。改めて、コロナ禍というのは本当に厄介だなと。
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