既に日本でも多くの方々が新型コロナワクチンを接種済みだと思いますが、ほぼ全ての日本人は同じメーカーのワクチンを2回だけ接種したことと思います。私はそこから外れた少し変わった接種経験をしたので、今回はそれについてご紹介したいと思います。
交差接種を含む計3回の接種
まず最初に私の経験を書いておきますが、私は現時点で「シノファーム製1回」、「ファイザー製2回」の計3回のワクチン接種を受けています。
日本でも中国でも3回目の接種はまだ始まっていませんし、シノファーム製とファイザー製の交差接種(製造メーカーの違うワクチンを接種すること)は両国では認可されていませんから本来ならあり得ない話なのですが、諸事情によりこうなってしまいました。
その事情なのですが、今夏私は久しぶりに日本に一時帰国する予定だったので、出入国の際の影響を考慮し、帰国する前に中国製ワクチンを接種したいと思っていました。しかしながら、私が暮らしている都市ではなかなか外国人への接種が解禁にならず、帰国する前になんとか1回目の接種は受けられたものの、2回目の接種は間に合わなかったのです。
中国のシノファーム製とアメリカのファイザー製の交差接種の安全性に関しては十分に理解されてはいないため、私は当初は、日本ではワクチン接種は受けず、中国に戻ってから2回目の接種を受ける予定でした。
なのですが、日本にいる間に日本国内の新規感染者数は大きく増え、自宅療養中に亡くなる人も続出し、私の気持ちも徐々に揺らいでいったのです。既に1回目の接種は終えていたわけで、年齢や健康状態を考慮しても、仮に自分が感染したとしても重症化リスクは決して高くないとは思いました。ただ、中国に戻る際にどうしても東京を経由することになるため、自らウイルスを中国に持ち込んでしまうリスクが懸念されたのです。私が暮らしている市というか省では長らく新規感染者が出ていませんでしたから、たった一人でも出れば大問題になるわけです。もちろんロックダウンも不可避です。職場の教職員及び学生にも多大な迷惑がかかりますから、そういった観点から、日本でのワクチン接種を決断しました。
交差接種はそもそも可能?
もしかしたら、「既に海外で別のワクチンを接種済みなのに、日本でファイザー製もしくはモデルナ製を打ってもらえるの?」なんて疑問に思われた方もいるかもしれません。
結論から言えば、真面目に接種歴を申告すれば打ってもらえません。ただ、接種する側は当人の過去の海外での接種歴など知る由もないわけで、黙っていれば打ってもらえる、ということになります。
私はまず日本の居住地の自治体が運営する接種センターに問い合わせたのですが、「そういう事情ならうちでは打てない」、「掛かり付け医に相談してそこで打ってもらうように」とのことでした。そこで掛かり付け医に相談したところ、「まず大丈夫だとは思うけれど、万が一のことが起きた時に責任が取れないから」という理由で断られました。過去にお世話になったことのある別のクリニックでも相談したところ、全く同じ回答でした。
そこで自分でリスクに関して調べてみたところ、中国製の不活化ワクチンを接種済みの東南アジア諸国やトルコでは、その効果が芳しくないということでmRNAワクチンの大規模な追加接種が既に行われているということを知り、これなら大丈夫だろうと判断し自己責任で接種を受けることに決めました。
副反応
そんなわけで私は計3回接種したわけですが、私が経験した副反応についてもご紹介しておこうと思います。言うまでもなく、副反応に関しては個人差が非常に大きいです。特にmRNAワクチンに関しては、接種によって亡くなる方も出ていますし、私の親のように副反応など一切なかったという人もいます。大して参考にならない情報だと思ってお読みください。
まず1回目、中国のシノファーム製の不活化ワクチンを接種した時のことですが、接種の翌日から2日間ほど腕の痛みが出た程度でした。発熱はありませんでした。ただ、なぜか接種の翌日頃から接種部位に内出血のような変色が見られ、10日間ほど経つまで消えませんでした。
これは後日ファイザー製のmRNAワクチンを接種した際には見られなかったことです。打ち方が悪かったのかな…とも思ったのですが、しっかり90度の角度で刺していましたし、接種時の痛みも最小限だったように思います。
なお、同じ日に接種したアメリカ人(白人)の同僚数人に聞いてみたところ、皆「発熱等はなかったけれど、接種後の眠気が酷かった」と言っていました。私は眠気など一切感じなかったので、やはり人種差も含め個人差が大きいのかもしれません。
2回目の接種はファイザー製のmRNAワクチンで、時期は1回目の接種から2ヶ月ほど経った頃でした。副反応に関しては、やはり腕は睡眠時に寝返りを打つのがしんどい程度には痛くなりましたが、それだけでした。発熱もなく、接種部位の変色もなかったです。
3回目の接種は2回目のちょうど3週間後、同じくファイザー製のmRNAワクチンでしたが、副反応に関してはほぼ巷で言われている通りでした。2回目の接種時と同様に腕が痛くなり、接種当日の夜に37度台前半の発熱、翌日には38度台前半まで熱が上がり全身に筋肉痛がありました。しかし接種の翌々日には熱は下がり、通常通りの状態に戻りました。
最後に
とまあそんなわけで、私の新型コロナワクチン接種歴は、現時点で「3回接種済み」かつ「シノファーム製とファイザー製の交差接種を含む」ということで、日本人としては珍しいはずなので、ある種の人体実験の結果として誰かの参考になるかもしれないと思い、ここで報告させていただくことにしました。もちろん断言はできませんが、何らかの理由で同様の交差接種を受けることになったとしても、まあそこまで心配する必要はないのかなと。
ただ、やはり不必要なリスクを取るべきではありませんから、「日本で未承認のワクチンを打つなら現地で規定の回数しっかり打つ」、「規定の回数以上の接種は控える」ことが重要だと思います。
もしかしたら、この記事を読んで不快に感じる方もいるかもしれません。もちろんその上であえて書いているわけですが、私のような特殊な生活をしていると、どうしても一般的なルールでは対応できないことが生じる場合があります。自らの責任でもって自ら判断せざるを得ない場合もあるのです。しかもそれが自分自身及び他者の生命に影響を与える可能性があるケースもあり得るわけです。仮に今回私は一時帰国の前に中国で2回の接種を完了していたとしても、日本でmRNAワクチンを追加で接種するという選択肢がありました。自己判断は避けては通れなかったのです。
日本でも中国でもまだいわゆる「ワクチンパスポート」の本格的な運用は始まっていませんが(日本でワクチン接種を受けた場合、中国渡航時には提出の必要がありますが)、もしかしたら近い将来、中国製不活化ワクチンのみの接種だと日本滞在中に不便が生じる、逆にmRNAワクチンのみの接種だと中国滞在中に不便が生じる、なんていうことがあり得るかもしれません。なので、そもそもワクチンパスポートの有無で市民の行動に制限をかけること自体現実的なんですか?と、そんな疑問を投げかけたい思いも私にはあります。
難しい問題ですが、特に日本にいる日本人の皆様には、こういう問題に直面している在外邦人がいることをこの機会に知っていただけたら嬉しいです。
コメント