コロナ禍が終息したはずの北京を訪れて感じたこと

COVID-19

2021年4月、パスポートを更新するために北京を訪れました。空いた時間に北京の中心部をぶらぶらと歩いてみて感じたことを今回ちょっと書いてみたいと思います。

まずは、現在私が暮らしている街とはあまりにも雰囲気が異なり驚きました。北京では未だに皆マスクを着用していたからです。私はもうだいぶ前から一切マスクをせずに生活していますし、現在はショッピングセンター等の屋内施設に入る際にもマスクの着用は求められません。コロナ前の日常が既に戻っています。

ちなみに、実は私はまだ新型コロナのワクチン接種を受けられていません。予定よりもワクチンの到着が遅れているそうで、現在到着を待っているところです。うちの大学の医学部の学生たちは既に皆接種を受けたと聞いていますから、近々私の番もやってくるのだろうとは思いますが。そんなわけで、ワクチン接種が済んでいないにも関わらず、私がいる街ではマスクを着用せずに生活ができています。

一方北京ではほとんどの人が既にワクチン接種を済ませています。街中を歩いてみるとわかるわけですが、どのお店の入り口にも「当店はワクチン接種に同意しています」といったような内容の張り紙がされていて、従業員の接種率が記載されています。私がざっと見た限り、ほとんどのお店が「100%」で、そうでないお店に関しても「90%」くらいでした。また北京ではもう長らく新規感染者数ゼロの状態が続いています。

それにも関わらず、相変わらずマスクは外せないのです。もっとも、中国政府は「ワクチン接種を受けても感染リスクはある」、「引き続きマスクの着用は必要」と呼びかけていますから、皆それを真面目に守っているだけではあるのですが。

新型コロナの封じ込めに成功し、ほとんどの人が予防接種を終え、事実上コロナ禍が「終息」した北京。それでもマスクは外せない。この事実は個人的には非常に重いものに感じられました。

北京から戻りこの話を中国人の同僚たちにしたところ、皆「そりゃ北京は特別な場所だから」と言って笑っていましたが、中国国内でもこんなに違うものなのかと、今回軽く衝撃を受けました。

感染対策を突き詰めれば、ずっとマスクを着用し続けるのが一番ということになるかと思います。コロナ禍が始まって以降、世界中で季節性インフルエンザの感染者が激減したそうですから、マスクの有効性がかなりのものであることは間違いないでしょう。

コロナ禍により、世界は不可逆的な変化を遂げたのかもしれません。「コロナ禍の終息」は、コロナ禍以前の生活に戻れるという意味ではないのかも、、、そんなことを今回強く感じました。そういう意味では、入国者への隔離措置だって解除できるわけがありません。娯楽目的の海外旅行などもう二度とできないのではないかとすら思えてきます。少なくともワクチンの皆接種がこの問題を解決しないことは現在の中国を見ていれば明らかです。

今回北京の在中国日本国大使館で新しいパスポートを受け取ったわけですが、もしかしたら、もうこのパスポートに日本と中国以外のスタンプが押されることはないのかもしれません。今夏私は一時帰国をする予定ですが、日本に帰れば14日間の待機が課され、中国に戻って来れば14日間の強制隔離。家族に会うだけでもかなりの出費と時間が必要になります。

繰り返しますが、ワクチンでもダメなら一体どうすれば良いのでしょうか?

私は当初、コロナ禍なんて皆が慣れることで1年程度で収束に向かうだろうと考えていました。しかしながら、この感じでは3年経とうが5年経とうが短期滞在目的の海外渡航は不可能なままでしょう。

一時帰国に最低28日間もかかるとなると、私はもう1年に1度夏休みにしか家族には会えないということになってしまいます。そこまでの苦痛を我慢してまで現在の仕事にしがみつきたいとは思っておらず、もう大学教員というか、研究者は引退して本帰国し、日本で就職活動をしようか現在真剣に悩んでいるところです。当ブログは思いの外短命で終わってしまうのかもしれません。

現在日本にいる皆さんからしたら見慣れた光景なのかもしれませんが、今回北京で道行く人全員がマスクを着用している様を目にし、「まだこんなだったのか!」と本当にショックを受けました。

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