中国の銀行で外貨両替及び国際送金をする方法。中国銀行(Bank of China)の例。

お金の話

(※この記事は2021年1月に書いたものですが、2022年12月12日現在でも当記事の内容は有効です。)

中国で働いていると給料は人民元で受け取ることになるわけですが、一時帰国をして日本に滞在する際など、日本で日本円による支払いが必要になる場合もあるかと思います。今回は、そんな時に必要になる外貨両替や国際送金に関してご紹介したいと思います。

海外にいても日本円は必要

私はいわゆる「現地採用」という形で雇用されていますから、中国に沢山いる駐在員の方たちとは異なり、給料は全て人民元で受け取っています。

日本で何の経済活動もしないということであれば現地通貨のみで生活することも可能なのかもしれませんが、実際のところなかなかそういうわけにもいきません。一時帰国の際にはもちろん日本での生活費が必要になりますし、オンラインショッピングを利用して日本にいる人に贈り物をする際や、日本の動画サイト等のサブスクリプションサービスを利用する際など、日本円での支払いにはやはり日本で作ったクレジットカードを利用するのが便利ですし、手数料の面でもメリットがあります。そして日本のクレジットカードを使うためには当然、日本の口座の残高を維持する必要があります。

他にも例えば、海外現地採用で暮らしている日本人の中には、将来のことを考え日本で国民年金保険料を納め続けているという人もいます。

ということで、実際に海外で暮らしていると「現地通貨を日本円にして日本の銀行口座に移す必要」が生じることは多いです。

中国の厳しい資産持ち出し制限

「必要に応じて適宜両替して一時帰国の際に現金で持って帰るなり国際送金するなりすれば良いだけの話では?」なんて思われた方もいるかと思います。もちろん多くの国ではそれで十分です。

しかし、中国ではその「外貨両替」や「国際送金」が容易ではないのです。正確に言うと、中国人にとっては簡単なのですが、外国人が中国でそれを実行するのは簡単ではないのです。これは中国政府が「国内の富の流出」を極力防ぎたいと考えていることが大きく影響していて、中国政府的には、外国人が国内で得たお金はなるべく国内で消費して欲しいのです。

我々外国人が覚えておくべきルールが幾つかあるのですが、まず初めに、「人民元のまま国際送金をすることは不可能」ということです。ですから、中国からお金を持ち出す場合には基本的に「両替」が必要になります。国際送金をする場合は、まずは日本円なり米ドルなりに両替した上でそれらの通貨を受け取れる口座宛に送金をすることになります。

人民元を現金で持ち出す場合、2万元(約32万円)までなら問題はないのですが、人民元を日本に持って帰って日本円に両替しようものならびっくりするくらい悪いレートが適用されます。

それでは中国国内の空港の両替所はどうかと言うと、やはり旅行者向けということで、日本で両替するよりはだいぶマシですが、それでも売りレートと買いレートの間にはそれなりに大きな差があります。旅行者は空港の両替所を利用すれば十分だと思いますが、居住者向けではありません。

またそもそも外国人が中国の空港の両替所でまとまった額の人民元を他の通貨に両替するのは不可能です。これにも制限がかかっていて、1つのパスポート番号では、例えば日本円なら11万円くらいまでしか両替できません。そういった意味でも、あくまで旅行者向きと言えます。

しかしながら、中国国内の銀行で外貨両替をする場合は非常に良心的なレートが適用されるので、居住者は基本的に銀行で両替をするべきです。

ただその場合にも限度額に制限があるので注意する必要があります。中国人であれば1日あたり5,000米ドル相当額(約50万円)、1年あたり50,000米ドル相当額(約500万円)まで両替が可能ですが、後述する手続きを経ない場合、外国人は1日あたり500米ドル相当額(約5万円)までしか両替はできません。ただ、ちょっとした手続きさえすればなんと年間の手取り相当額まで、つまり実質的に上限なしで両替ができるので、中国で得た給料は問題なく国外に持ち出すことが可能です。

中国銀行で外貨両替をする方法

私は先月(2020年12月)、日本に国際送金をするために銀行で人民元を日本円に両替したので、その時のことをご紹介したいと思います。

今回私が利用したのは中国銀行(Bank of China)ですが、ネット上の情報を総合するに、他の銀行でも手続きはほとんど同じだと思います。特に最近は中国銀行以外の銀行で外国人が新規に口座を開設するのは難しいようなので、中国銀行を利用することになる日本人は今後更に増えることかと思います。

今回外貨両替をするにあたり、銀行側から提出を求められたのは以下の書類でした。

  1. 居留許可が貼り付けられたパスポート
  2. 工作許可証(就労許可証、カード状の Work Permit のこと)
  3. 雇用契約書
  4. 納税証明
  5. 職場で発行してもらった印章付きの給与明細

全て原本を持って行く必要があり、銀行員の方がそれらのコピーを取った後で原本はすぐに返却してもらえます。

1~3番は居住者であれば手元にあるでしょうからまあいいとして、問題は4番と5番なのですが、これらも取得は簡単です。「納税証明」は税務署に行けば無料で印刷してもらえます。「給与明細」に関しては、職場の担当部署(例えば私の勤め先の大学なら「財務処」)にお願いすれば印刷して印を押してくれるはずです。中国には個人の印鑑というものは存在しませんが、担当部署ごとに大きいサイズのスタンプが存在し、たまにこれが必要になることがあります。

上記の書類を揃えて銀行の窓口に足を運べば好きな通貨に両替が可能です。中国人であれば、わざわざ窓口に足を運ばなくてもスマートフォンのアプリで簡単に外貨の売買ができるのですが、外国人はこの機能の利用が制限されているため毎回銀行に行く必要があります。

なお、中国の銀行口座は基本的にマルチ通貨口座になっているので、日本の銀行のようにわざわざ別途外貨預金口座を開設する必要はありません。例えば、日本円に両替した場合、その日本円は同じ口座番号の日本円預金口座に入金されます。

外貨の現金引き出し

為替レートは日々変動していますから、人民元を日本円に両替するのであれば円安人民元高なタイミングを狙って銀行に足を運ぶと良いかと思います。

両替さえ済めば、後は好きなタイミングで引き出して手で日本に持って行くなり、当該口座から直接日本の銀行口座に送金するなりすればいいわけです。後述しますが、国際送金はやはり手数料が高いので、持ち出し制限である5,000米ドル相当額(約50万円)以下ならなるべく現金で持ち出した方が良いかと思います。

中国の銀行にて現金で外貨預金を引き出す場合、銀行に足を運んですぐに引き出したいと言っても無理です。準備に数日間必要です。これは地域や銀行によって多少手順が異なるようですが、私の経験上、銀行の受け付けに行ってその旨を伝えると帳簿に必要な金額と通貨、連絡先を記入するよう言われ、伝えられた受取日に窓口に行くと現金で引き出せます。受取日は申請日の「2~3営業日後」であることが多いようです。中国人ならこの外貨受取予約もスマホのアプリで可能なのですが、外国人はその機能も使えません。

中国銀行で国際送金をする方法

中国政府が定めている外貨の持ち出し制限の上限は「5,000米ドル相当額(約50万円)」なので、50万円までなら一時帰国の際に手で持って行けばそれで十分だと思いますし、それが最も効率の良い資産移動の方法です。50万円以上の外貨を持ち出したい場合は国際送金をするしかありません。

国際送金は銀行で外貨両替をするのと同時に行うことが可能です。何度も銀行に足を運ぶのは面倒なので、同時に済ませてしまうのがやはり楽です。銀行側の手続き的には「両替」と「国際送金」は別個のものですが、お願いすればまとめてやってくれます。

両替と国際送金をまとめて行う場合、持参すべき書類は上述の外貨両替に必要なものと同じです。ただその他に以下の情報が必要になるので、事前に調べておく必要があります。

  1. 送金先の銀行名とその銀行の住所(支店の住所ではなく代表住所、銀行のホームページの外貨受取に関する説明箇所に載っている)とSWIFTコード
  2. 送金先の銀行にある自分の口座の店番号と口座番号(店番号と口座番号をハイフンで繋ぎ「123-1234567」のような形で銀行側に伝えれば良い)
  3. 日本における自分の住所
  4. 現住所

海外送金未経験の方にとってはこれが少々ややこしい箇所なのだろうと思いますが、送金先に関する情報を色々と提供する必要があるのです。送金先の銀行のホームページを事前によく確認することが重要です。国際送金、もしくは外貨送金の受け取り方法に関する説明が必ずどこかにあるはずで、そこにはSWIFTコード等の送金の際に必要になる情報がまとめられているはずです。

もちろん、これらの情報は全て英語表記で提供する必要があるので、住所等は全て英語で書かれているはずです。自分の日本の住所や現住所に関してももちろん英語表記となります。

一点、私が以前困ったのは、国際送金の申込書には送金先の「支店名」や「店番号」を記入する欄が存在しないということです。結論だけ言えば、支店名はそもそも必要ありません。店番号(例えば「123」)と口座番号(例えば「1234567」)をハイフンで繋げ、「123-1234567」のような形で口座番号として指定すれば大丈夫です。

私は今回、日本のネット銀行最大手の「住信SBIネット銀行」の自分の口座宛に中国銀行の自分の口座から送金をしました。海外で生活していると、やはり日本のメガバンクなんかよりもネット銀行の方が何かと便利です。送金から受け取りまでの流れですが、送金手続きをした2営業日後に住信SBIネット銀行から着金の連絡が電子メールであり、銀行のホームページでそのお金に関する簡単な説明を入力して送信したところ、その翌日には無事自分の口座に入金されていました。

とまあ、数日間でお金の移動が完了するので大変便利ではあるのですが、手数料が少々高いです。今回のケースでは、以下の手数料が必要でした。

  1. 中国銀行に支払った手数料:249.94元(約4,000円)
  2. 着金時に自動的に引かれていた手数料(多分中継銀行への手数料、住信SBIネット銀行の場合はみずほ銀行):1,500円
  3. 受け取りに必要な手数料(住信SBIネット銀行への手数料):2,500円

ということで、合計で約8,000円の手数料が必要でした。正直結構高いですよね。100万円くらい送金するとして、手数料だけで1%近く持って行かれてしまうわけですから。

口座間送金の場合、現金に触れる必要がないので気楽ではあるのですが、手数料のことを考えると、やはり50万円までなら一時帰国の際に手で持って行った方がいいのかなという気がします。

まとめ

今回のエントリーでは、中国の銀行で外貨両替及び国際送金をする方法についてご紹介しました。

結論をまとめると、以下のような感じです。

  • お金の国外持ち出しに厳しい中国ではあるが、まともな方法で稼いだお金ならもちろん上限なしで問題なく持ち出せる。
  • 日本国内での人民元両替は避けるべき。旅行客なら中国の空港にある両替所で十分。居住者なら銀行で両替した方が得。
  • 中国から日本への国際送金は非常に便利だが手数料が高め。50万円以下なら手で日本に持って行った方が得。

今回は少々細かい話になってしまいましたが、在中邦人の方やこれから中国で働く予定の方などの参考になれば嬉しいです。

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