ゼロコロナ政策は終了? 中国当局発表のコロナ対策新ルールと今後の展望。

COVID-19

ここ数日、ゼロコロナ政策が事実上終了するようだと中国内外で話題になっているわけですが、本日当局より感染対策に関する「新ルール」の発表があったのでその内容をお伝えすると共に、今後の展望について考えてみたいと思います。

習近平国家主席の方針転換

まずは今回の政策転換のきっかけですが、やはり11月下旬に中国国内の様々な都市で散見された、ゼロコロナ政策に伴う厳しい制限に対する抗議活動だと考えている人が多いようです。習近平国家主席を名指しして退陣を要求する様には私も驚きました。

その後、状況が大きく変化したのが2022年12月1日、習近平さんが欧州連合(EU)のミシェル大統領と北京で会談した際の発言からわかります。この会談にて、習近平さんは「現在中国で主流になっているオミクロン株の致死率は低い」、「このことが制限の緩和に繋がるだろう」といったような発言をしたそうです。これは彼がつい先日までずっと言い続けてきた「ゼロコロナ政策の堅持」とは相容れないものであり、この発言にてゼロコロナ政策は終了したのだと言っても過言ではないのではないでしょうか。

この会談の数日後、12月5日頃から急にPCR検査場が撤去されるなど中国国内では様々な動きがあり、そして本日2022年12月7日、中国当局からコロナ対策の新ルールの発表がありました。

コロナ対策の新ルール

2022年12月7日、「中华人民共和国国家卫生健康委员会」が「关于进一步优化落实新冠肺炎疫情防控措施的通知」というタイトルでコロナ対策における新ルールを発表しました。

http://www.nhc.gov.cn/xcs/gzzcwj/202212/8278e7a7aee34e5bb378f0e0fc94e0f0.shtml

詳細は原文を読んでいただくとして、重要だと思われる点のみざっと挙げてみると以下のようになります。

  1. 高リスクエリアの認定は限定的に。マンションの棟や階ごとに認定することにして小区等広い範囲には拡大しないこと。
  2. PCR検査の規模は縮小。行政区域単位での一斉検査は行わないこと。高リスクエリアにいる者には課してもよいが、その他の者に関しては検査は任意。高齢者施設や医療機関、学校等の特殊な場所以外では陰性証明を求めたり健康コードをチェックしたりはしないこと。大企業や一部の重要な機関などに関しては個別に防疫措置を取ることが可能。市や省を跨ぐ移動をする者に対して陰性証明や健康コードのチェックをしないこと。到着地でのPCR検査も行わないこと。
  3. 隔離方法の最適化。感染しても無症状か軽症なら自宅隔離、自らの意思で集中隔離を選ぶことも可能。感染者は自宅隔離の6日目及び7日目にPCR検査を受け問題がなければ隔離解除。自宅隔離条件に適合する濃厚接触者も自らの意思で集中隔離を選ぶことも可能、隔離5日目にPCR検査を受け陰性なら隔離解除。
  4. 高リスクエリアは速やかに封鎖して速やかな解除を。5日間新規感染者が出なければ解除。
  5. 学校における感染対策の最適化。各種学校はしっかりと感染対策をすること。感染者が出ていない学校は対面授業を行うこと。感染者が出た場合は適切にゾーニングを行い、当該エリアの外では通常通りの活動をすること。

以上のような内容になっており、基本的には「思い切った制限緩和」と言えるかと思います。

今後の展望

今後は、多くの人がもうPCR検査は受ける必要がなくなるはずです。もちろん感染リスクは非常に高くなりますし、今後は誰もが感染する前提で生活を送る必要があります。中国メディアの報道によれば、感染した場合は十分に水分を摂りつつ、一般的な風邪薬等で対処するようにとのことです。

多くの人にとっては、これにより日常生活における自由度が大きく高まるのではないでしょうか。特に駐在員を含めた会社員の方々は中国国内の出張も容易になり、ビジネスが捗るのではないかと思われます。

問題は私のような「教員」や「学生」ではないでしょうか。今回の新ルールでも教育機関は明らかに例外扱いになっており、独自に感染対策を徹底するようにとのことです。要は行政から丸投げされたわけで、これは教職員側からしたらたまったものではありません。学内では一斉PCR検査もやろうと思えばやれるし、封鎖もできる。逆に検査をしないことで自由を確保するという選択肢もある。しかしながら、もし学生の中に感染し重症化する者がたった1人でも出たらどうなるでしょうか。これは中国の学校では大変なことです。各種教育機関の上層部には非常に大きなプレッシャーがかかることになります。

あとは、やはりオミクロン株の致死率がいかに低いとは言え、中国の人口は日本の10倍を超えます。現在の日本におけるコロナ感染による死者数を考えれば、中国では100万人程度の高齢者及び基礎疾患持ちの国民が今後は比較的短い期間で亡くなる可能性が高いと言わざるを得ません。世界中のほとんどの国がそういった「ウィズコロナ」の道を選んだわけで、これは仕方のないことではあるわけですが、民衆がそれを受け入れられるのか、個人的には何とも言えない部分があるような気はします。状況によっては、感染対策が再び強化されたり再び緩和されたりと、今後紆余曲折あるだろうなと私は予想しています。

まとめ

どうやらゼロコロナ政策は本日2022年12月7日をもって終了となったようです。

今後は中国当局が発表する新規感染者の統計データには実質的に何の意味もなくなりますし、中国国内の感染状況を知ることは原理的に不可能になります。

ここまで思い切った政策変更をした以上、もう後戻りはできないはずです。

また、中国入国後の隔離も遠くないうちに撤廃される可能性が高いのではないでしょうか。

しばらくの間、おそらく来年の春頃までは政策変更に伴う様々な混乱が発生することでしょうが、来年の夏頃にはそれも落ち着くのではないかなと、個人的には予想しています。

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