中国で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者の増加が見られ、対策が強化されました。
5か月ぶりの100人超え
中国の衛生当局は昨日(2021年1月10日)、新型コロナの感染者が新たに103人出たと発表しました。1日あたりの新規感染者が100人を超えたのは2020年7月30日以来で約5カ月ぶりとなります。
河北省で82人、遼寧省で2人、北京市で1人のほか、国際線の空港検疫で18人の感染が確認されたとのこと。特に河北省では省都の石家荘市で新規感染者が多く見つかったことから、当局は8日に約1,000万人の全市民に自宅待機を通知しており、現在事実上のロックダウン状態となっています。
日本では連日数千人の新規感染者が見つかっているわけで、「たった103人でロックダウン?」なんてつい思ってしまうわけですが、中国では特に昨年の夏以降は新規市中感染者ゼロの日も非常に多かったため、現地人にとってはこれは結構インパクトのある数字です。
学生たちへの移動制限
私の勤め先の大学は河北省からはだいぶ離れていますが、上述の報道を受けて全学生に対して移動を制限するよう通知が出されました。
具体的には、「まだ帰省しておらず現在も学生寮で暮らしている者は寮で年越しをすること」、「現在大学を離れている者は現地で年越しをすること」といったような内容です。
中国で「年越し」と言ったらそれは旧暦の年越しのことであり、2021年は2月12日が旧暦の元日となっているためその前後の話です。旧正月の連休は今年は2月11日(旧暦の大晦日)から17日までなので、そのくらいまではとにかく物理的な移動を自粛するようにという通知です。
遠ざかる外国人の入国解禁
上述の報道を受け、中国国内ではコロナに対する警戒ムードが一気に高まりました。
個人的に気がかりなのは、こういった警戒感の高まりにより、外国人へのビザ発給再開が更に遅れる可能性があるということです。
中国に学籍や職を持っている外国人の多くは、昨年の1月に旧正月休みを母国で過ごすために一時帰国して以来中国に戻ってこれていません。そんな状態になってもう1年近く経つのです。戻ってこれない理由は中国政府がビザの発給を停止しているからに他なりません。
外国人が取得済みだったビザや居留許可は2020年3月に全て無効化されたため、現在中国の外にいる外国人は皆新規にビザを取得する必要があります。正確に言うと表向きビザの発給は再開しているのですが、申請理由が厳しく制限されていたり地方自治体が手続きに必要な招聘状の発行を拒否していたりして、余程の人物でないとビザは取得できません。
私の知り合いの研究者の中にもビザ待ちをしている人が何人もいますし、うちの大学の日本語学科で採用が内定している日本人の方も現在日本で待機中です。大学の教員レベルでもそのような状態ですから、留学生が戻ってこれるのは一体いつになることやら。戻ってこれないまま卒業を迎える学生がうちの大学だけでも数百人規模で発生することが確定的です。
封じ込めても大変なコロナ
中国は新型コロナの封じ込めに成功しました。これは疑いようのない事実です。しかしながら、封じ込めたことによって、今度は国を跨いだ移動の再開ができなくなってしまったのです。
私のように既に国内にいる外国人は外に出るに出られなくなってしまいましたし、上述のように現在外にいる外国人は入れなくなってしまいました。
人命第一ですから、基本的には水際対策をガチガチに固めて封じ込めを目指すのが定石だとは思います。それなのに、封じ込めに成功したら成功したで待っているのはこの現状、、、新型コロナというのは本当に厄介なウイルスだなと。
あとは、あれだけの水際対策を実行していたにも関わらず今回3桁の新規感染者が見つかったわけで、新型コロナの感染力というのは本当に凄まじいですね。
日本のコロナ対策はこれからどういった方向に進んで行くのかわかりませんが、我々のような在外邦人にも少なからぬ影響があるわけで、感染拡大が収束に向かうことを願うばかりです。
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