広州の隔離ホテル「燕岭大厦」。中国渡航に際して日本から持って行くべき物など。

COVID-19

今回は2021年10月に私が利用した広州の隔離ホテルについて、中国渡航に際して日本から持って行くべきと思われる物についても触れつつご紹介したいと思います。

コロナ禍中の中国渡航

2021年夏に一時帰国し、中国に戻ってきて以降バタバタしていてブログの更新が滞ってしまいましたが、今回は私が広州で利用した隔離ホテル「燕岭大厦」についてご紹介したいと思います。2021年10月の話なので少し情報が古いのですが、あれ以降中国の水際対策は大きくは変わっていませんから、これから中国に渡航される方の参考になればいいなと思っています。

なお、日本から中国への渡航に関しては、こちらの記事が参考になるかもしれません。

特筆すべき変更点として、2022年5月30日より、中国渡航に際して必要な検査が「PCR検査2回+迅速抗原検査1回」となります。これに関しては中国大使館のホームページ(http://jp.china-embassy.gov.cn/jpn/)に詳しい案内が出ていますので、中国渡航を予定されている方は早めに情報をチェックされることをお勧めします。渡航前にコロナに感染した場合、完治後2回のPCR検査を受け、そこから最低でも2ヶ月間の健康観察期間を経て初めて中国への渡航が可能になるため、今後はとにもかくにも渡航前に感染しないことが重要になります。

隔離ホテル到着後の流れ

今回私はANAの成田-広州便で入国し、入国後は「燕岭大厦」という隔離ホテルで2週間過ごしました。

空港からのバスで隔離ホテルに到着したらまずはチェックイン。宿泊料や滞在中のルールに関して書かれた紙を数枚受け取り、部屋のグレードを指定して料金の支払いをします。

この段階で現場はなかなかカオスな状況でした。中国人の中には「高過ぎる! もっと安いホテルに変更してくれ!」と防護服姿のスタッフに怒鳴り散らしている人がいたり、他の日本人の方々は中国語以外の言語が一切通じない環境に驚き急いで誰かに電話をして通訳を依頼していました。

まず宿泊料に関してですが、以下の3つのオプションがありました。

  • スタンダードルーム(438元、14.5泊で6,351元)
  • ビジネスルーム(470元、14.5泊で6,815元)
  • デラックスルーム(490元、14.5泊で7,105元)

ただ、今回はビジネスとデラックスからしか選べないとのことだったので、価格の差が小さかったため私はデラックスルームにしました。他の方々も皆同じ選択をしていました。

ちなみに、中国人の方が怒っていたのも当然で、ここは他の隔離ホテルに比べて明らかに高いです。実は上記の金額は素泊まりの価格で、ここのホテルでは食事は完全に別会計になっています。この金額なら3食付きというところもたくさんあるようです。

「1元=19円」だとして、1泊あたり「490元=9,310円」、14.5泊分で「7,105元=134,995円」ですから、これに食事代が必要になることを考えるとかなりのコストとなります。

次に言語に関してですが、料金表示と基本的なルールに関してだけは英語版もあったものの、他の書類は中国語表記しかありません。また何より、スタッフには日本語はもちろんのこと英語も一切通じません。ですから、中国語ができない方は必ず当日電話にて通訳をしてくれる人を用意しておいた方が良いです。私はスマホの翻訳アプリで何とか凌ぎました。

宿泊料の支払いが終わったら、書類に名前や住所、最終目的地、コロナワクチンの接種歴等に関して記入し、カードキーを受け取って各自部屋に向かうことになります。一旦部屋に入ったらそこから2週間は一切室外には出られません。

広州の隔離ホテル「燕岭大厦」

ホテルの廊下は以下のようになっていて、各部屋の前にはバイオハザードマークの付いた黄色の医療廃棄物用ゴミ箱が置いてあります。

後述しますが、室内に専用のゴミ袋があるので、ゴミを捨てたい場合は自分の好きなタイミングでこの黄色のゴミ箱の上に置いておけばOKです。ゴミ箱の中に入れるのではなく、皆上に置いていました。どこも消毒液だらけなので、無駄にいろんなところを触りたくありませんしね。これも後述しますが、ルームサービスやデリバリーを頼んだ場合は、扉の横にあるフックに商品を引っ掛けた上でノックをしてくれます。

室内はこんな感じでした。

飲料水は1日あたり2本の量が既に置いてありました。ゴミを捨てる際はこの黄色の専用ゴミ袋に入れて出す必要があります。なお、入室後に電話がかかってきて、「入国後のPCR検査の結果がまだ出ていないからゴミは室外に出さないように」と言われました。2日目からはゴミ出しOKです。

洗面台はこちら。

右に写っているのがシャンプーとボディーソープ、歯ブラシ。はっきり言って質は微妙なので、気になる方は持参した方が良いかと思います。

洗面台の下には使い捨てスリッパ。

洗面台の向かいにトイレがあり、その横がシャワーブースでした。

まあ、可もなく不可もなくといったところかなと。広州の別のホテルで隔離された知り合いから見せてもらった写真と比べると、ここの部屋は少し狭いかもしれません。椅子の質なんかも悪くて、隔離ホテルガチャとしてはハズレ(何より質の割に高いので…)だと思います。玄関扉に隙間が開いていたようで、廊下の消毒タイムには臭いがしんどかったです。多分健康にも悪いと思います。

食事

食事はスマホのWeChatアプリでQRコードをスキャンしてルームサービスを注文するのが基本のようですが、多分出前も大丈夫です。注意書きに「外部から食事の出前を頼んだ場合はフロントで中身をチェックします」的なことが書いてあって、私は他人にいじられるのが嫌だったので出前は試していません。ただ、他の部屋の人たちは連日何度も頼んでいたようなので、本当に開封してチェックをしているのかはわかりません。

私は食事はルームサービスのみで済ませましたが、要注意な点が1つあります。それは「WeChat Payでしか支払いができない」ということです。なので、初めて中国に渡航される方などで、WeChat Payが使える状態でない場合、フロントに電話をして注文するなり知り合い連絡して代わりに注文してもらうなりする必要があります。

ルームサービスの食事は、やはり少々割高ではあるものの、味は非常に良かったです。さすがは食の広州だなと。味に関しては本当に一切不満はありませんでした。弁当以外にも単品での注文が可能で、これが滞在中唯一の楽しみでした。

写真では伝わりませんが、どれも味が本当に素晴らしかったです。まともな皿に盛り付ければそれなりのレベルのレストランで出せる味です。

あとは、飲料水やソフトドリンクもルームサービスで注文可能です。残念ながらお酒はありませんでしたが。

お菓子等、ルームサービスにないようなものが欲しくなったら美団等のアプリでデリバリーを頼むことが可能です。試しに頼んでみたら普通に届きました。

日用品なんかも購入可能なので、デリバリーが利用可能なことが事前に確定しているのなら荷物をある程度減らせるわけですが、知り合いが広州で利用した隔離ホテルではデリバリー利用不可だったそうなので、広州に関して言えばこれはもう単に運次第です。

日本から持って行くべき物

自らの経験を元に、日本から持ってきた方が良いかもしれない物に関して書いておこうと思います。

まずは何と言っても「タオル」です。ここのホテルでは交換はしてもらえないのですが、分厚いから洗うのは大変です。タオルを使いたい方は、洗いやすい薄手のものがあるといいかもしれません。私は洗濯すべきものの量を極力減らしたかったので、「セームタオル」を日本から持ってきました。

高吸水の速乾性タオルなのですが、これ1枚あれば一般的なタオルなんて一切必要ありません。ホテル隔離への備えに関しては、これが最重要アイテムであると私は考えています。

中国のことは中国人が一番詳しいわけで、実は事前に学生に相談したのですが、ある女子学生から「先生、ホテルのタオルとケトルは汚い可能性があるので使わない方がいいです」と言われ一切使わないことにしました。なんでも、タオルは便器を拭いたりするのに使われている可能性があり(もちろんその後で洗濯はしているわけですが)、ケトルはパンツの洗浄に使う人がいるのだとか。

そんなわけで、私は事前に中国で購入したトラベル用の小さいサイズの「ケトル」も持参しました。これに関しては、日本と中国では電圧が異なるので、日本で買った品をそのまま持って来ても使えない可能性があるのでご注意を。

ケトルは絶対にあった方がいいと思います。2週間も隔離されるわけで、「お茶やコーヒー」はストレスの緩和にも役立ちます。私は緑茶のティーバッグやドリップタイプのコーヒーも持って行きました。

特に女性の方にはマストアイテムであろう「ドライヤー」に関しては微妙です。ここのホテルにはありました。ただ、私がこの後で隔離されたホテルにはなかったので、トラベル用の小さなサイズのものをスーツケースに入れておくと安心かもしれません。その際には対応電圧にご注意を。私は電圧の切り替えが可能でどこの国でも使えるトラベル用の商品を買ったので、次回日本から中国に渡航する際には持って行く予定です。

「サンダル」もあった方が良いかもしれません。ここには使い捨てスリッパが常備されていましたが、ない場合もありますし、この手の商品は結構汚れやすくて何日も使い続けるのは不衛生です。個人的には、室内ではサンダルで過ごし、それを履いたままシャワーを浴びてサンダルもきれいにして… というスタイルの方が好きです。

シャワーと言えば、「バススポンジ」も個人的にはマストアイテムです。

パンデミック初期、2020年に中国で隔離された際にはこれを持って行くのを忘れて後悔しました。

その他の「バス用品」に関しては人によるでしょうが、お気に入りの商品がある方は持って行くとストレス解消に役立つかもしれません。私はシャンプーもボディーソープも部屋にあったものも使いましたが、念のため日本からもある程度の量は持参しました。

あとは、やはり衛生面が気になったので「除菌シート」も一応持って行きました。

入室後、すぐにこれでテーブルや棚を拭きましたが、やっぱり必要だなと改めて思いました。

これら以外に関しては、時間を潰せる物でしょうか。私は日中はノートパソコンで仕事をして、食事の時にはそれでYouTubeを見て… といった過ごし方でした。やはりノートパソコンやタブレットを持参する方が多いのではないでしょうか。

体温測定とPCR検査

隔離中は毎日体温測定が午前中と午後にありました。ドアをノックされたらマスクを着用してドアを開けて額を出すだけです。

PCR検査は2日目、3日目、7日目、10日目、13日目の計5回ありました。鼻咽頭ぬぐい液の採取なのでそこそこ痛いです。向かいの部屋は親子連れだったようで、検査の度に幼い子供が「不要!」(嫌だ!)と叫び大泣きしていて、それを聞く度に胸が痛みました。検体採取の担当者次第では、私のようないい歳をした大人でも結構凹むくらい痛いです。私は選べるなら中国のあのPCR検査の痛みよりもワクチン接種の痛みの方を選びます。

隔離終了時の流れ

隔離終了の数日前になり、さすがにもう感染はないだろうということで居住地に空路で向かうための航空券を購入し、隔離ホテル側と職場に伝えました。

そして隔離最終日、つまり隔離ホテルから出られる日、午前中にスタッフが部屋にやって来ていくつか書類とN95マスク、手袋を受け取り、指示にしたがって広東省の健康コードの取得をしました。

その後、電話でチェックアウトするよう指示があり、1階まで降りてそのままホテルの外へ。

部屋のカードキーを置く場所があったのでそこに置き、先に進むとスタッフが待っていて、そこで待つよう指示がありました。40分ほど待つとバスがやって来て、それに乗り込み空港へ。

空港には隔離対象者用の入り口から中に入り、特設カウンターでチェックインをし、荷物を預けてやはり特設された待合スペースへ。一般の利用客とは一切接触しないようになっています。

呼び出しのアナウンスメントがあり、隔離対象者用のバスに乗車、そのまま飛行機の真横まで移動して機内へ。座席は一番後ろの窓側、隣はもちろんのこと前列も空席。

到着後はCAさんに誘導され真っ先に降機。裏口のようなところから仮説のプレハブ小屋に連れて行かれ、そこで書類の確認作業があり、それが済むと救急車で集中隔離施設へ搬送。

ちなみに、私が暮らしているのは人口数百万人の中規模都市ですが、そのローカルな集中隔離施設があまりにも酷くて、冗談抜きにトラウマになるレベルなので当ブログで紹介するつもりはありません。後日、私の体験談を聞いた同僚のアメリカ人たちは全員、2022年も一時帰国はしないことに決めたそうです。

中国初心者の方々へ

ということで以上が私が2021年10月に日本から中国に戻って来た際に経験したことです。

広州便で中国に入国する場合、やはりネックになるのは「言葉の壁」かなと思います。中国語が話せる方は良いのですが、全く話せないレベルだと多分かなりしんどいです。部屋の電話に連絡とかも普通にあるので。「聞き取れない」と言ったらスマホのアプリで英語に翻訳してくれましたが、となると今度は英語能力が必要ということになってしまいます。他にも、ルームサービスの注文にはWeChat Payが必要ですし、広東省の健康コードを取得するためにはSMS認証も必要です。どう考えても「今回が初めての中国」なんて方にはハードルが高過ぎる気がします。

ということで、このホテルに振り分けられてしまうリスクがある以上、そういった中国初心者の方は、隔離ホテルが確定していて日本語対応も受けられるANAの青島便、それが無理ならJALの大連便を選択した方が安心かと思います。あとはまあ、ホテル次第だという話は聞いていますが、上海ならやはり外国人比率は一番高いでしょうから、上海便も広州便よりは良い選択なのではないでしょうか。まあそうは言っても、会社からの強力な支援が受けられる駐在員ならどこから入国しても大丈夫なのだろうとは思いますが、私のような現地採用の場合は(中国語が話せないのに現地採用というのはかなりのレアケースだとは思いますが…)、よく考えてフライトの選択をした方が良い気がします。

ということでかなり長くなってしまいましたが、今回のエントリーは以上です。もし何か質問等ありましたら、お気軽にTwitter経由(https://twitter.com/busyerwin)で連絡していただけたらと思います。

(※2022年の夏に利用した隔離ホテルに関して、以下の記事でご紹介しました。)

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