中国社会は旧暦ベースで動いているため新暦の年末年始はまだ年末でしかないのですが、一応今日が2021年の仕事始めでした。
叶わない一時帰国
私の家族は日本にいるのですが、もう1年近く会えていません。もう少しすると約1か月間の冬休み（旧正月休み）に入るため、本来なら1か月間私は日本で家族と一緒に過ごすことができるのですが、今年はそれも叶いません。
職場のお偉いさんたちの意見は真っ二つに割れました。私の一時帰国をサポートしてくれる人も多かったものの、「最悪のケースとして、半年もしくはそれ以上の長期に渡り中国に戻ってこれなくなる可能性もあるわけで、今回は思い止まって欲しい」と言われ、断念しました。
私は日本人ですから、「帰国」は簡単です。しかしながら、中国に戻ってこれなくなる可能性がある点こそが問題なのです。例えば、もし私が日本にいる間に中国政府が「現在有効なビザ及び居留許可による入国の一時停止」を発表したらそれでアウトですから。
またその他にも、私の一時帰国を阻まんとする二つの大きな「壁」があります。
PCR検査＆抗体検査
まずは、中国への渡航の条件として現在中国政府が課している「ダブル陰性証明」というものです。
現在中国に渡航、つまり中国行きの飛行機に乗るためには、出発日の2日前以内に取得した「ダブル陰性証明」の提出が必要になります。これは「PCR検査」と「抗体検査」の陰性証明のことで、両方とも陰性である必要があります。
PCR検査は感染したとしても陽性となる期間が短いのでまあいいとして、問題はこの「抗体検査」。具体的には、IgM抗体の方で陰性ならOKなのですが、このIgM抗体というのは感染後1週間程度してから上昇を始め、2~3週間程度かけて減衰するので一旦感染してしまうと陰性になるまでに時間がかかるのです。しかも仮にロシュ・ダイアグノスティックス社の検査キットを使ったとして、その感度はほぼ100%。一旦感染してしまえば1か月程度は中国には戻れないということになります。そういったリスクを踏まえれば、1か月間しかない休みでは一時帰国は難しいのです。
現在の日本の感染状況を踏まえれば、日本に帰ればそれなりの確率で感染するはずです。新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に関しては、多くの感染者が無症状もしくは軽症ですし、PCR検査の感度は抗体検査に比べればだいぶ劣るため、メディアが発表している新規感染者数など何の参考にもなりません。実際の感染者数はもっとはるかに多いことでしょう。普通の人は感染したところで抗体検査を受けることはまずありませんから、自らの感染を知ることもなく、普通に社会生活を営むことできます。しかし私は感染したら必ず「バレる」のです。
3回の隔離
次に私の一時帰国を阻んでいるのが「3回の隔離」です。
私が一時帰国した場合、まずは日本入国後に2週間の自己隔離が待っています。これに関しては自宅での隔離も認められているのですが、私の妻の勤め先からNGが出ているため、私はホテルで2週間過ごす必要があります。日本政府がどんなルールを課そうと、企業が別途私的なルールを作って従業員に課しているケースはどうやら多いようです。これに関しては全くと言ってよいほど報道がなされていませんが。
そして、無事PCR検査と抗体検査を陰性でパスしたとして、中国に入国すればそこで待っているのは2週間の強制隔離です。到着空港からバスでホテルまで連れて行かれ、そこで2週間過ごすことになるのです。
多分、日本の人たちが知っているのはここまででしょう。
到着空港付近のホテルで2週間の隔離を終え、居住地まで移動すると、なんとそこでもまた2週間の隔離が待っているのです。これはどうやら地方自治体が独自ルールとして課しているようですが、中国の他の都市で暮らして外国人の知り合いに聞いてみたところ、彼が暮らす街でも同様のルールだとのことでした。要はまあ、申し合わせているということなのでしょう。
そんなわけで、一時帰国しようものなら計6週間の隔離が必要になるのです。もちろん全部自費です。さらにこの過程で何度もPCR検査を受けることになりますから、合計で少なくとも30万円くらいはかかるはずです。
お金の問題も大きいわけですが、そもそも1か月間の休みでは帰れないということです。
大学に戻るのが来学期が始まった後になったとして、隔離ホテルの部屋からオンライン授業をすればいいじゃないかと言ってくれた同僚もいたのですが、中国の大学はコロナ前と同様の対面授業に完全に戻っているため、お偉いさんの意見としては「やはりそういうわけには、、、」とのことでした。
いつまで続くのか
一体こんな状態がいつまで続くのでしょうか。
1年も家族に会えない状態を皆さんは想像できますか？
私には娘が2人いるのですが、2人ともまだ幼児ですよ？
日々すごい勢いで成長しているわけで、この1年で随分と大きくなりました。その成長を直に見ることすらできないのです。子供が生まれたら約20年もの時間、限りある時間もお金も湯水のごとく費やして支え続ける必要があるわけですが、父親が娘を抱きしめたり一緒にお風呂に入ったり、隣で眠ったりできるのなんて今だけです。女の子の子を持つ父親にとって、最高の時間がこうしている今もどんどん過ぎ去って行ってしまっているのです。
そんな、毎日手を伸ばしては雲を掴むような日々の傍ら、日本のメディアのニュースに目をやれば日々ぐんぐん伸びる新規感染者数、、、
中国では現在でも市中感染者などほぼいません。ゼロではないにせよ1日あたり数人とか10人とかですから、人口を考慮すれば近似的にはゼロと同じです。
日本はなぜ中国の真似をしないのでしょうか？ 一時的に罰則付きのロックダウンでも何でもやってコロナを封じ込めてしまえば良いだけの話に思えてならないのですが？
アメリカやイギリスには入国者に対する隔離措置すら存在しないわけで、ああいった国々で感染拡大が止まらないのは当然だと思います。しかし、日本では「コロナ差別」なんかが問題になっているようですから、皆コロナを非常に恐れているわけですよね？ であれば、日本政府はもっと強い政策に打って出て、コロナに対して短期決戦を仕掛けるべきだと思います。人口が10倍以上の中国にできて日本にできないはずがないのですから。
こんな状態、一体いつまで続くのでしょうか、、、
家族に会いたいです。
日本の皆さん、私を家族に会わせてください。
お願いですから、コロナ対策に協力してください。
コメント