2025年3月に中国から本帰国し、日本で働き始めて2か月ほどが経ちましたが、この度、前の職場、つまり中国の大学の事務職員から損害賠償の請求に関する連絡がありました。
正直、精神的にかなりのショックを受けており、この記事はそのストレスを少しでも緩和するためのものであるのと同時に、中国や中国人と関わることのリスクの一端を広く伝えることを目的としたものです。
損害賠償の請求
まず何が起こったのかに関してですが、ストレートに書けば、この度、3月まで勤めていた中国の大学の事務職員から連絡があり、損害賠償の請求がありました。
具体的には、日本円で120万円ほどの賠償金の支払いを求めるものでした。その金額の根拠となる計算式も明確に示されました。
青天の霹靂、寝耳に水とはまさにこのことで、もちろん「そんな話は聞いていない」と伝えたところ、雇用契約書の該当箇所を指摘されました。そこには「任期満了の前に離職し大学側に損害を与えた場合、賠償金を支払うこと」といった内容が中国語で書かれていました。
もちろんその条項の存在自体は把握していましたが、あくまで大学側に損害を与えた場合であり、「任期満了前の離職」イコール「損害」などという暴力的な解釈がなされるという認識はありませんでしたから、特に気にしてはいませんでした。授業の関係もありますから、退職が決まった時点で学部長には早めに連絡し、授業編成の担当者にも早めに連絡をとり来学期は授業を担当できない旨明確に伝えてありました。私が研究指導を担当している大学院生に関しては、オンラインでの指導継続(無給での研究指導)を約束しました。損害を与えたどころか、無償で労働を提供しているのが現状であり、もはや開いた口が塞がらないというか、強烈な憤りを感じています。
その他の理不尽な損失
そもそもお金に関して言えば、大学側からの嫌がらせにより、今春の退職に伴って既にかなりの損失が生じています。
まず、人事担当の部署に私の退職に関する連絡がいった時点で教員リストから私の名前が削除され、給与支払いの停止措置が取られました。その時点では私はまだ普通に働いていたわけで、それ以降は無償労働を強いられました。
また特に腹が立ったのは、その時点で研究費の残りも全て凍結され、未精算の出張旅費の精算すらできなくなってしまった点です。出張旅費だけで約60万円を失いました。現在中国の大学教員(というか公務員?)が海外に出るためには非常に煩雑な手続きが必要で、学長の署名までもらって行った海外出張でしたが、結果的に全額自費になってしまいました。他にも、研究費を凍結されたことで学生への給料の支払いができなくなり、セミナー講演をしてもらった研究者への講演料の支払いもできなくなり、その他諸々の研究活動に必要な消耗品の精算等も全てできなくなり、本当にもうイライラが募るばかりの日々でした。
本帰国後、中国の大学の財務担当部署から、社会保険料の追加支払いが必要だから指定の口座に送金するようにと連絡がありました。「給与支払いはとっくに停止されているわけで、なぜ社会保険料?」と疑問に思いましたが、それでもう大学側と縁が切れるならと思い支払いました。
これらの合計額は100万円を超えますが、全てが理不尽としか言いようがない「損失」です。
現在の職場に着任して以降、同僚たちから度々「中国で働いていたということは、さぞ待遇が良かったのでしょう」などと言われましたが、経済的なメリットなど何もありませんでした。技術者であれば、確かに中国で年俸数千万円で働いている人はいます。ただ私は基礎科学分野の研究者であり、特に産業応用とは無縁の分野で働いていますから、給料は本当に月並としか言えないレベルでした。そんな中、上述のように毛を毟り取られるかのような目に遭い、本当にただただ虚しい最後でした。
賠償金を支払うべきなのか?
今後のことですが、とにもかくにも、現在請求されている賠償金の支払いをどうするのか、という問題に尽きます。
不安が強く、ここ数日は睡眠障害のような状態が続いています。
もうお金なんてありません。
無給労働を強いられた上で本帰国、新生活を始めるための出費もかなりの額になりました。新しい職場で働き始めて、緊張やらストレスやらは当然あるわけで、そんな中、賠償金などという仰々しい表現で高額の請求。請求の根拠となっている「大学側に与えた損害」の内容も不明。
今後の大学側の動き次第ですが、場合によっては国際関係に強い弁護士を探して相談する必要があるかもしれないと考えています。ただその場合は費用が心配です。誰かに助けを求めるにしてもお金がかかるわけで、自らの状況は既に詰んでいるように思えてなりません。
関わるべきではない人たち
最後に、現在の私からの、心の底からのメッセージです。
「中国や中国人とは絶対に関わるべきではない。」
非常に人口の多い国ですから、ビジネスの舞台としては価値があるのでしょう。連中は損得勘定でしか動かず、価値のあるものには積極的に投資をしますから、甘い汁を吸うことができる人が多いことも理解はしています。
ただ、そこには人間らしい感情は存在せず、道徳も倫理もなく、狂ったようにカネだけを求める守銭奴がいるだけ。
長年に及ぶ中国生活を経て、私の手元に唯一残ったのは人間というものに対する深い絶望です。
本帰国後、ようやく家族と一緒に暮らせるようになり、毎朝「いってらっしゃい」と送り出してくれる妻、帰宅時には玄関のドアを開けてすぐに聞こえてくる「パパ、おかえりなさい!」という娘の声、温かい手料理。幸せのテンプレのような毎日。
なのに、家族が寝静まった後には毎晩、得体の知れない不安を感じます。湧き上がる怒り、心の中で渦巻くモヤモヤ。
テレビをつければ中国に擦り寄ってばかりの気持ち悪い政治家。SNSを見れば中国上げに一生懸命な中国留学中の頭の悪い日本人留学生。
そして、それらを疑いもせず盲目的に受け入れる有象無象のオーディエンス。
結局、誰も何も知らない。
長年に及ぶ海外在住歴からか、現在の職場では国際交流推進のための委員会の委員も担っています。
本当は、「国際交流」という言葉が苦手というか、正直嫌悪感すら抱いているなんて本音は、口にできるわけもなく。
自分は研究者であるのと同時に教育者でもあるわけですが、相互理解が云々とか、多様性が云々とか、そういうのを語るのが得意ではありません。
自分はもう、性善説しか知らない者しかいない国で暮らすには、少々不自由な身体になってしまったのかもしれません。
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