コロナ禍中の一時帰国。上海浦東国際空港から成田へ。日本渡航時の注意点など。

COVID-19

コロナ禍の中、2021年6月に私が中国から日本に一時帰国した際のことをご紹介したいと思います。

コロナ禍と一時帰国

今夏、2021年6月に私は中国から日本に一時帰国したのですが、やはりコロナ禍の影響で現在国を跨ぐ移動は容易ではありません。在中邦人の方たちの中にも、一時帰国したいけれどなかなか難しいという状況の方は多いのではないでしょうか。

結論を先に言えば、「日本に帰るのは非常に簡単」です。事前に新型コロナのPCR検査を受けて検査証明を取得しておく必要がありますが、やるべきことは基本的にはそれだけです。

問題は中国への入国です。事前に済ませなければならない手続きが色々とありますし、入国後には厳格な隔離が待っています。この隔離期間がネックになり一時帰国ができない方が多いのが現状なのではないでしょうか。

ということで、往路復路共にご紹介したいとは思うのですが、まず今回のエントリーでは中国から日本への渡航に関して、私が実際に経験してみた感想及び注意すべきと思われる点についてご紹介したいと思います。

渡航に必要な準備

(※実際に渡航される際には必ず最新情報を確認してください。)

まず日本への渡航のための準備に関してですが、私は以下のような順番で進めました。

  1. 航空券の手配
  2. 日本渡航用PCR検査の予約
  3. 「誓約書」の印刷と記入
  4. 日本渡航用PCR検査
  5. 検査証明の受け取り
  6. その他(アプリのインストールや各種情報入力など)

これらに関して順番に説明をしていきたいと思いますが、その前に一つだけ。渡航に必要な準備に関して、全日本空輸(ANA)のホームページからダウンロード可能なチェックリストが非常にわかりやすいので、私はそれを見ながら準備を進めました。

ここに載っているものが全てで、これらの準備を済ませた上で空港のチェックインカウンターへと向かうことになります。

航空券の手配

日本への渡航を決めたら、まず真っ先にすべきは航空券の手配です。

現在日中間のフライトの便数は平時に比べて非常に少なく、北京便は存在しなかったりと、直行便が離発着する都市も限られています。現在利用可能な便の一覧は在中国日本国大使館のホームページからダウンロード可能です。

「2021年4月26日現在」となっていますが、これが当記事執筆時点における最新版です。もう半年くらい膠着状態が続いていて、残念ながら増便はなされていません。

また、現在国際線の航空券は片道予約しかできないようになっているようで価格が高騰しています。なので兎にも角にも早めの予約をお勧めします。

現在、日中間の航空券(片道)の価格は大体15~20万円くらいです。平時であれば往復で5~6万円程度で購入可能ですから、これはもう異常な価格としか言いようがありません。ただ中国で暮らしている日本人のほとんどは駐在員ですから、基本的には職場が負担してくれることかと思います。

日本渡航用PCR検査

日本渡航のために必要な準備は色々とあるわけですが、その中でも特にというか、唯一時間がかかるのが「中国出国前72時間以内のPCR検査証明の準備」です。基本的には、事前に検査の予約をし、病院に足を運んで検査を受け、その翌日に検査証明を受け取る、という流れになります。

具体的な話は以下の記事でご紹介していますから、適宜参考にしてください。

大事なことは一つだけ。「厚生労働省所定のフォーマット」で検査証明を発行してくれる医療機関でこの検査を受けることです。この書類さえしっかり用意できていれば、他の作業は極端な話、当日空港に向かうタクシーの中や空港内で済ますことも可能です。なのでこの検査証明の取得が全てと言っても過言ではありません。

「誓約書」の印刷と記入

現在、日本に入国する際に「誓約書」(厚生労働省のホームページからダウンロード可能)の提出が必要です。ざっくり言えば、入国後の待機(自主隔離)等、日本政府が定めている検疫関係のルールをしっかり守る旨誓約する内容となっています。入国後の待機場所等の情報を記入する欄があります。

一応事前に印刷して記入しておくことにはなっているようですが、やはり忘れてしまう人もいるからか、私が渡航した際には機内でこの書類が配布されました。なのでまあ必ずしも事前に用意しなくてもよいのかもしれませんが、事前にできることはやっておいた方が安心なのではないかなと。ただこの書類、定期的に内容が更新されているようなので、渡航直前に準備をした方がよいと思います。

その他の準備

検査証明と誓約書以外にもいくつかやっておくべきことがあります。

具体的には以下の3つです。

  1. 中国出国時に提示が必要な「健康申告」
  2. 厚生労働省指定の「3種類のスマホアプリ」のインストール
  3. 「質問表」の記入と完了画面のQRコードの保存

これらはスマホ上で短時間で簡単にできるので、苦労することはまずないかと思います。上の方でご紹介したANAのチェックリストにQRコードが載っていますから、それをスマホで読み込んで一つずつこなしていくだけです。

ここまで済めば準備は完了。あとは空港に向かい予約済みの便で日本に向かうだけです。

いざ、日本へ!

ということでやって来ました上海浦東国際空港。

チェックインカウンターには長い列ができていました。

チェックイン時にPCR検査の検査証明の確認がありますが、それ以外は平時と何も変わりませんでした。唯一違うのは皆マスクをしているという点だけです。

現在国際線はほとんど飛んではいないので、空港内はガラガラでした。

ANAの上級会員(と言っても私は平SFC(スーパーフライヤーズカード)会員なので上級の中の最下級会員ですが…)は、こちらの空港では同じスターアライアンスメンバーである中国国際航空のラウンジを利用することができます。なので私も搭乗時刻まではそちらで過ごしました。

食事がまだだったので、青島ビールと共に中華料理を少々…

こちらのラウンジには、ビュッフェ形式のメニュー以外にオーダー制のワンタンスープがあり、その辺にいるスタッフさんにお願いすると持ってきてくれます。

これがもう本当に素晴らしい味で、ぷるぷるとしたワンタンと絶妙な塩加減のスープとの相性が最高でした。

搭乗時刻になり搭乗ゲートへ。機材はボーイングの787-10です。

コロナ禍の影響で「国際線の機内はガラガラ」という話を耳にした方もいるかもしれませんが、中国便にはそれは当てはまりません。空席はかなり少なく機内は平時と同程度の混雑具合でした。

フライト自体は平時と同じで、これは正直私にとっては驚きでしたが、機内食もアルコール飲料も普通に提供されました。

ビールを注文する人が多く、なくなってしまったようで私は赤ワインにしました。当時はまだ日本の飲食店ではアルコール類の提供が禁止されていたわけですが、空の上ではOKなのだなと。

機内ではこんな紙が配られました。

上海-成田便は3時間弱の短距離フライト。そうこうしているうちにあっという間に日本に着きました。

あまりにも長い待ち時間

着陸するところまではよかったのですが、ここからがコロナ”禍”の始まりでした。

スポットに向かう途中でJAL機が見えたので嫌な予感はしたのですが、ここからの待ち時間が恐ろしく長く、着陸してから非制限エリアに出るまでになんと約6時間もかかりました。

順を追ってご紹介しますが、飛行機がスポットに到着した後、CAさんのアナウンスに従い、指定された列(前方から順番に)の乗客のみが降機を許可されます。

私は普段後ろの方の席を選ぶことにしているので(主翼が邪魔にならず窓からの景色が見やすく、また墜落時の生存確率が相対的に高いため)、降機はほぼ最後になってしまいました。着陸後、飛行機から出られたのはなんと3時間後。後方の席を選んでしまったことを激しく後悔しました。

なので皆さん、コロナ禍がもう少し落ち着き日中間のフライトが増便されるか、もしくは日本入国時の水際対策が緩和されるまでは、日本渡航時にはなるべく機体前方の席を選ぶことをお勧めします。ネット上の情報によると、他の国から帰国された方たちは到着の2時間後くらいには非制限エリアに出られているようですが、やはり中国便はちょっと状況が異なるのかもしれません。

降機後もまだまだ待ち時間が続きます。降機後とりあえずトイレに寄った上で(トイレが使えないという情報もありますが普通に使えました)、進むべき方向に進んで行くと、番号の書かれた椅子が並んだエリアに着きます。

最前方の人たちが次のエリアに進んだら後ろの人たちも前の方の席に移動して…というのをひたすら繰り返すことになります。途中でスタッフさん(パソナから派遣された方々なのだとか)がやってきて提出書類(PCR検査の検査証明等)のチェックがなされます。

ちなみに、このスタッフさんたちがマスクをしただけの軽装だった(防護服を着ていなかった)ので驚きました。徹底したゼロコロナ政策を実行している中国からやって来た我々よりも、むしろこのスタッフさんたちの中に感染者がいる可能性の方が高かったのではないでしょうか。

降機後、1時間ほど待ち続けようやくこの待機エリアを抜けることができました。ただここからのプロセスがまた結構長いのです。

まず提出書類のチェックブースがあり、その後で抗原検査のための唾液検体の採取ブースがあります。仕切りはありますが、それなりに混雑した場所で唾液を容器に出すことになる(マスクを外すことになる)ので、感染対策の面でどうなのだろうかと正直思ってしまいました。

検体採取が終わった後にもたくさんのブースに立ち寄ることになります。指定アプリがしっかりスマホにインストールされているかの確認、メールアドレスが正しいかの確認(その場でスタッフさんがタブレットからメールを送信して確認)などがあります。スタッフさんたちの中には日本語がすごく上手とまでは言えないような外国人も何人もいて、日本の闇を見た気がしました。

冗長なプロセスが済んだらベンチが並ぶ待機場所に向かい、そこで抗原検査の結果が出るのを待つことになります。番号が振られているので、自分の番号が呼ばれるのをひたすら待ちます。その番号のアナウンスメントを担当していたスタッフさんが不慣れだったのか、言い直しが非常に多く大変聞きづらかったのが印象的でした。

そこでも結構長い時間待ちました。ようやく自分の番号が呼ばれ、先に進むと最終チェックをするブースがあり、そこで非制限エリアに出た後の予定を確認されます。

そこを抜けた後は見慣れた光景。入国審査ゲートを通過し、ターンテーブル脇に置かれたスーツケースを持って税関ゲートへ。そこを抜ければ非制限エリアです。

先に述べた通り、飛行機が着陸してから非制限エリアに出るまでに6時間ほどかかりました。酷く疲れたのは言うまでもありません。

非制限エリアに出たら自由?

日本滞在中に何度も聞かれたことですが、皆さんご安心を。非制限エリアに出たら、待機場所に到着するまでは完全に自由です。監視の目はありません。利用を禁止されている公共交通機関を使ったところでまずバレません。そもそも成田空港には国内線も発着していますから、国際線で到着したばかりの人かどうかなどわからないのです。

でも、皆さんはもちろん、そのまま成田エクスプレスに乗ったり京成スカイライナーを利用したりはしませんよね? 監視されなくても皆しっかりルールを守るから良い意味で緩い状態を維持できているわけで、国家権力による監視の強化を防ぐためにも、ルールはしっかり守りましょう。

待機場所到着後のスマホアプリによる監視

空港を出て待機場所に着いたら、そこからはインストールを指示されたスマホアプリによる監視が始まります。移動に必要な時間を考慮してのことだと思いますが、私の場合は日本到着の翌々日から始まりました。

内容は随時改定されているようですが、私が経験したのは2種類のアプリ上での作業です。1つは、「位置情報確認アプリ」で1日2回午前と午後に位置情報を送信するよう通知が届くので、その度にアプリの画面上でボタンをタップする必要がありました。もう1つは、1日1回「mySOS」というアプリで着信があり、それに出るとスマホのフロントカメラで自動的に30秒間の録画が始まる、というものでした。以前はスタッフさんとの直接的なコミュニケーションだったようですが、自動化されたようです。

現在はまた少しシステムが変更されたようで、厚生労働省のホームページ上の説明を確認してみたところ、どうやら「mySOS」で位置情報の送信も行うようになったようです。

やはり皆さん気になるのは「これをやらないと罰則があるのか?」という点だと思いますが、全てを完全に無視した場合、違反者として個人情報が公開されます。ですから、このやり方が気に食わないからと言って完全に拒否する(例えばアプリを削除するなど)のは避けるべきです。

ちなみに私は待機期間中はずっと自宅に引き籠もり、ほとんどの通知や着信には速やかに対応しました。ただ、昼寝中に通知が届き何時間も気付かなかったことがありましたし、大事なオンラインミーティングの最中にmySOSの着信があり出られなかったこともありました。そもそもいつ通知や着信があるかはわからないわけで、入浴中やトイレに行っている時だったらどうしようもありません。ある意味このシステムの欠陥とも言えるわけで、厚労省としても、「とは言っても、一度も反応がなかったらさすがにそれは意図的ですよね?」ということなのだと思います。

まとめ

最後に、中国から日本への渡航に際して、大事な点を再度書き出しておきたいと思います。

  • PCR検査の検査証明は厚生労働省所定のフォーマットで取得した方が安心。
  • 中国から日本に向かう便では機体前方の席を選んだ方がいい。(※後日別記事でご紹介しますが、日本から中国に向かう場合は前方の席でも後方の席でもあまり変わりません。前方の方が少し早く先に進める程度。)
  • 上海から成田に向かう場合、着陸から非制限エリアに出るまでに6時間くらいかかる可能性がある。
  • 非制限エリアに出たら待機場所に着くまでは監視の目は皆無。各々の良心が前提。

全体の感想ですが、とにかく着陸してからが大変でした。あまりにもプロセスが冗長ですし、現場のスタッフさんたちは明らかにその道のプロではないいかにも寄せ集めといった感じの若者たちばかりで、はっきり言って私は強い不快感を感じました。例えば、対面で行うと時間のかかるメールアドレスの確認など簡単にオンライン化できるわけで、日本政府というか厚生労働省はなぜそうしないのでしょうか。そもそも全ての手続きを対面で行うため、降機後非制限エリアに出るまでにかなりの人数(しかも無防備な格好)のスタッフさんと至近距離で会話をする必要があるわけです。元々感染などしていなくても、この冗長で非効率でリスキーなプロセスにより感染するのではないかと思えてなりませんでした。

中国政府は「ゼロコロナ政策」を実行している一方、日本政府は「ウィズコロナ政策」を推進しています。私は日本の政策に賛同していますから、ワクチン接種を完了し重症化を防げている状態なら感染自体は大して問題ではないと考えています。しかし、それならこんなプロセスは廃止すればよいのではないかと思うのです。渡航の直前にPCR検査を受けて陰性であることが確認できているのなら、それで十分なのではないでしょうか。そもそも抗原検査の感度など非常に低いわけで、単なるパフォーマンス程度の意味しかないのですから。やるならしっかりやる、やらないならやらない方がいいと思います。中途半端なことをやったところで、各種リソースの無駄遣いにしかなりません。

とまあ、以上、だいぶ私見の混じった記事になってしまいましたが、正直本当に疲れました。上海のホテルを出発してから成田に着くまでは非常にスムーズだったのですが。

当記事が誰かの役に少しでも立ったらいいなと願うと共に、何らかの形で現状の改善に繋がるといいなと、そんな願いを込めて今回は書かせていただきました。

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